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宗宮誠祐のblog

名古屋郊外赤池駅近くのジム自由人の代表(ロックジム破天荒、ボンクラージュ、Dioも)blog

ロクスノ74号「チッピング限定的容認論に思う」補論(1)

開拓時のチッピング問題について、あるクライマーに説明していたら、「でも、それは昔の話でしょ。今は、そんな人、いないんじゃないの!!」と鋭い意見を拝受しました。

確かに、ジャーダイントラバースにしろ、フランスのビュークスにしろ、四半世紀以上前のお話です。それで、最近の事情を調べていたら、メゴス氏のインスタを発見しました。

アーティフィシャルルート問題は過去の話ではなく

「"one of the last remaining hard routes for me in the Fj went down yesterday. "Becoming" 9a+ at Rotenstein.
There is just one thing to say. Well built that thing but the Sika doesn't seem of good quality, it crumbles... 
From 'in the making' to "Becoming"... "」

訳してみますと、こんな感じです。

「フランケンユーラに残っている、私にとって難しいルートの一本を昨日登りました。 Rotensteinの "Becoming" 9a+ です。ひとつだけ言いたい事があります。良い仕事なんですけど、シカ(接着剤)の質が良くないです。くずれちゃって...'in the making' から"Becoming"まで....」


この問題について、2016年10月24日付UKClimbing.comのニュース欄で"Alex Megos repeats Becoming, 9a+"を書いたBjörn Pohl 氏はこうコメントしました。


"Is chipping still an issue or is it widely accepted now? Is it ok to chip? Did I miss something??
Maybe. Looks like everybody is doing it and nobody seems to say anything... "



訳すとこんな感じでしょうか。



「チッピングは今もその是非が議論中の問題なのか?

あるいは、今では、チッピングは広く許容されているのか?

削ってもOKなのか?

私は何かを見逃していたのか??
そうなのかもしれない。みんながチッピングしていて、そして、誰もなにも言っていないような気がする...」



Becoming" 9a+は、2014年の初登です。
このことは開拓時のホールド製造問題は過ぎ去った過去ではなく、今現在の話題ということを意味しています。



2016.11.8付メゴス氏インタビュー at UKclimbingニュース

Björn Pohl 氏は、その後、メゴス氏にインタビューし、当然、この問題もとりあげました。以下に、2016.11.8付のUKclimbingから、チッピング関係のみ、引用して、ご紹介しましょう。こちらも訳しにくかったです。間違ってるとこあったら教えもらえると助かります。



“Björn Pohl: About "new holds" and "leaving marks", recently you questioned whether chipping & glueing had come in fashion again. Is this something you see more of these days? Not only in Frankenjura”


インタビュアー: 「新しいホールド」や「チョーク跡」についての質問です。チッピングやグルーイングが再び流行しはじめたんでしょうか、 あなたはつい最近問題提起しましたけど、最近の状況について、あなたはどう感じていますか。フランケンユーラはもちろんですが、他のエリアについても、お聞きします。

“Yes, it is something I see more of these days. But probably just because I started looking more closely.”


はい。ここしばらく、以前より見かけるようになっています。でも、それは、私が、以前より注意深くチェックするようになったためだと思います。

Not only in the frankenjura no
フランケンユーラはもちろんですが、他のエリアについても、です。

“Björn Pohl: The question just is where is the line of chipping?! I would say hardly any route nowadays or in the past is not "manufactured". Loose flakes have been removed, holds might be reinforced.
Where do you draw the line yourself for what's acceptable?”


インタビュアー: 聞きたい事は、ここからはチッピングで、ここまではそうじゃないっていうラインはどこかっていうことです。 今も昔も、まったく手を加えていないルートなんてないと思います。脆いフレークは、はずされますし、ホールドは補強されますからね。
あなた自身はどこにラインを引いていますか、つまり、岩に手を加えることを、どこまで許容しますか?

“I draw the line there: it's ok to glue holds back on if they fall off. Glueing on holds that were sort of similar is very, very questionable”


私の一線は、こんな感じです。ホールドが取れた時に、そのホールド接着剤で付け直すのはOKです。でも、似たようなのをくっつけることには、ものすごく疑問を感じます。

“Björn Pohl: I guess one could argue that removing and reinforcing a hold changes a route equally much...”

インタビュアー: ホールドの除去も補強もルートを変えるという点では同じだと言えるのでは....

“Of course it does change the route. That's sort of the job of the guy who bolts the route to make a decision whether it should be removed of reinforced”

もちろんそうです。どちらもルートを変化させます。ただ、もろいホールドをはずすか、補強するかの決定は、そのルートを作る人の決めることなんです。

“Drilling holds and glueing on stuff that was not there: not ok”


ドリルで穴をあけてホールドを製造したり、そこになかったものを貼付けるのはダメです。

“Making holds bigger: not ok”

ホールドを大きくするはダメです。

“removing holds to make it harder: not ok
”
難しくするためにホールドを除去するのはダメです。

“Björn Pohl: So, in short, the better the rock, the less room for "creativity"?”
インタビュアー: ということは、端的に言うと、岩が固い場合は、「製造」の余地は小さくなりますか?

“yes, If you've got a pile of choss you can do anything almost...”
はい。もし、もろかったら、なんでもありということに....

“Björn Pohl: Is this something you discuss a lot with other climbers who make first ascents? Do you ever come across climbers who openly disagree with you on this issue?”
インタビュアー: あなたは、この問題について初登者の人々と、たくさん議論しましたか? この問題について、あなたに同意しないと公言するクライマーに、でくわしたことはありますか?

“To be honest I haven't talked to too many other (strong) climbers about that. I know that basically everybody I talk to agrees that chipping is a NO go, and still it happens very often in my eyes.”
正直に言うと、私は、これまで、この問題について、他の強いクライマーとあまり話した事はないんです。基本的には、みんながチッピングはダメだということに同意すると思います。それでも、私の目から見て、チッピングは頻繁に発生しているんです。

“Mostly to a degree that is still acceptable, but sometimes just a bit too much...”
たいていは、その程度は許容出来る範囲にあるんですが、ときどき、ちょっとひどいなと思うのが...

“I know that Nalle is against chipping. Most boulderers are. It's more common in route climbing I feel, but maybe that's just because I climb more routes then boulders? Using sika or glue is not as common in bouldering I would say.”
ナーレはチッピング反対です。ほとんどのボルダラーもそうです。チッピングはルートクライミングに多いような気がします。しかし、それは、私が、ボルダーよりルートをたくさん登っているから、そう感じるだけかもしれません。ただ、シカやグルーの使用は、ボルダーではあまりみかけない、とは言えそうです。



以上です。 インタビュー全文はこちらです。ぜひ一読ください。
http://www.ukclimbing.com/news/item/70783/interview_alex_megos


なお、このインタビューは、ニーパット使用についての見解や楢崎智亜氏とのセッションについても言及していて、たいへん、興味深いインタビューでした。



アーティフィシャルルートを登る = 開拓時のチッピング容認派?


IMG_5688.jpg

開拓時のチッピング問題については、わが国においても、複数の有名クライマーが私見を公表しています。例えば、故・吉田和正氏はこう述べています。



「 吉田 ・・・だってチッピング反対って言うってたらローズだって登れないし、マジノラインだって登れないしな。・・・」 ( ロックアンドスノーNo.12 2001年夏号)

開拓時のチッピングに反対ならば、そういうルート(アーティフィシャルルート)を登ることはできないばず。この吉田さんの立場は、一貫していて、説得力があります。


ぼくの周囲でも、文明開化の初登者は豊田の縄文ハングのオールチッピングルートについて、「自分はチッビングして課題を製造するのは大反対だ。だから、あの課題は登らない。」と明言していたと記憶しています。

一方、「開拓時のチッピングには反対だ。しかし、そうやってできたアーティフィシャルルートがあれば登る」という立場についての理解はなかなか難しいものがあります。以下の場合と同じように、もう少し、説明してもらう必要がありそうです。

動物の毛皮を衣類にするのには反対だ、しかし、毛皮のコートは着る。

捕鯨には反対だ。しかし、鯨肉は食べる。

予防には全力を挙げる。しかし、発生してしまった結果については許容する、有効利用する? という意味でしょうか、、、

あるいは、その岩場の伝統に合わせるということでしょうか、、、フランスでは、アーティフィシャルルートを登るけど、日本では登らない、、、


今仮に、チッピングが必要なら、そもそも、その岩は開拓しない。アーティフィシャルルートだとわかったら、そんなルートは一切登らないというクライマーがこう批判したとします。

「そのルートがアーティフィシャルルートであることを知りながらトライするクライマー、そのOS、F、or RPをクライミング歴に記載するクライマー、そのクライミングを賞賛するクライマーやスポンサードする企業やメディアは、開拓時のチッピング限定的容認派だ」

批判された人々が、この評価について不本意な場合、どう反論し、どう説明すれば良いのでしょうか?
開拓時のチッピング限定的容認派ではないという論理的な説明は、可能なのでしょうか?
全員は困難としても、ある立場によっては可能なのでしょうか?

少し考えてみましたが、開拓時のチッピング限定的容認派と分類されたときの論理的反論はなかなか難しそうです。


引き続き、考えてみたいと思いますが、、、

追記
今回のお話は、別の事情からも、これで終わりというわけにはいきません、
まだまだ、続きがあると宣言しておきます。
なぜなら、正当な引用の要件のうちの明瞭区別性はOKと思いますが、主従関係をみたすには、まだ、ぼくの意見の量が少ないように思うからです。

というわけで、とりあえず、こちらのリンクも張っておきます。

Rock&Snow 74号「Making The Grade」&「開拓時におけるチッピング限定的容認論に思う」
  1. 2016/12/09(金) 12:26:57|
  2. 未分類
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