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宗宮誠祐のblog

名古屋郊外赤池駅近くのジム自由人の代表(ロックジム破天荒、ボンクラージュ、Dioも)blog

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古美山ティックマーク事件について(3)

ロビンス先生、ジョンギル先生を紹介した以上、この方を紹介しないわけにはゆきません。フランスのフリークライミングの父・ドロワイエ先生です。
 
なぜ フランスのフリークライミングの父なのか。それは以下の論考にあります。ニコラス・オコネル著『ビヨンドリスク』(山と渓谷社,1996)から引用します(下線はぼく)。

 
新しい考えは、初めは必ず批判の対象となる  

「フリー・クライム」とされているルートでクライマーがピトンをレスティングやフットホールドに使っているのは普通に見られる光景だ。人によっては習慣的なことになってしまっていて、疑問すらさしはさまない。そして一種の救命ブイと化したピトンで確保された地点の間をすばやく動くのが「フリー」・ルートの登攀である。現在、私たちはこのようなクライミングは、次の定義が明示しているような本当の「フリークライミング」とは考えられないことを理解すべきである。すなわち「フリー・クライミングとはクライマーが自然の凹凸のみを利用してすすむクライミングである」。したがってピトン、クサビ、ロープ・スリングなどの人工的エイドは安全と危険予防のためだけに使われなければならない」(ジャン=クロード・ドロワイエ)

 
 

さて1970年代当時の登山界はこの意見にどう反応したでしょうか?
 「そりゃそうだ」と拍手を持って歓迎したでしょうか? 

『ビヨンドリスク』の著者ニコラス・オコネルはこうつづります。 

「1970年代半ばに彼がこの考えをフランスに導入した当時は手袋を投げて登山界に挑戦したようなものであった。何年もの間、ヨーロッパ大陸のクライマーたちはピトン、ロープ、ボルと、カラビナなどにつかまったり引っかけたりしてよじ登っていた。こうした人工的エイドの使用を避け、岩の自然の凹凸だけを利用して登ろうという彼の提案を待ち構えていたのは、まさに衝撃、激昂、あからさまな敵意以外のなにものでもなかった」 

まとめると、(ピトンやボルトつかんだり、のるのはやめて岩の自然の凹凸だけで登りましょうよ、先輩)と提案したら、「黙れ、若僧!ピトンやボルトつかんでもフリーなんだよ!これが俺たちの伝統だ!」と先輩達にボコボコにされたということです。

上記の話は、にわかには信じられないかもしれません。
しかし、ぼくも、約30年前、新人のとき、こんなふうに先輩に指導されました。確か、滝谷の夏合宿です。 

「宗宮君。大事なのはスピードと落ちないことだからね。あるものは全部使いなさい。つまり、ハーケンにのり、ボルトにカラビナをかけてつかんで登ってきたまえ。最近、御在所では、岩の凹凸だけで登るのがはやり出しているようだが、あれはあくまでゲレンデ(本番のための練習場)の話。今日は本番だからね。」 

以上から学べることの一つは、現時点ではクライミングコミュニティの共通認識となっているルールやマナーも、そのすべてが永久に絶対不変というわけではなく、時代の流れと共に変化する部分もあるし、場合によっては放棄されてしまうこともあるということです。 

ある思想が伝統としてクライミングコミュニティ内に定着するためには、次の世代、そのまた次の世代のクライマーによっても尊重に値する思想だと認識され、大切に受け継がれてゆく必要があるわけです。

ニコラス・オコネル著『ビヨンドリスク』(山と渓谷社,1996)は、他にも興味深い意見が満載です。もし古本屋さんやネットで見かけて、定価かそれ以下だったら、絶対に買いです。

 閑話休題 

チョークと松ヤニついては、ドロワイエ先生はジョンギル先生とは異なった考えをお持ちのようでした。なぜなら、こうおっしっゃているからです。以下『ビヨンドリスク』より引用します。

 
「ブローは樹脂の使用が伝統だ」 ジャン=クロード・ドロワイエ 

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ドロワイエ先生:「私は岩を尊重するようにしてきました。ですからチョークを使うのにも気をつけています。とても暑い日は、チョークをたくさん使ってやたらに跡を残すより、(涼しくなるまで)一日待つほうをえらびます。崖の岩場ではチョークを使うためホールドがべとべとになっているところがあります。」 
インタビュアー: 「でもチョークは使うでしょう。」 
ドロワイエ先生:「使いますよ。でも気をつけてつかっています。フォンテヌブローではぜんぜん使いません。あそこでチョークを使うのは問題です。フォンテヌローの砂岩は摩擦が十分あるし、チョークは岩をべとべとにすることがあります。フォンテヌプローでは伝統的に樹脂を使います。樹脂なら跡は残らないし、問題は生じません」 

この「フォンテヌローでは伝統的に樹脂を使います」については、ぼくも、昔、「ブローでは、布製の大きなてるてる坊主みたいなやつ使ってたよ。頭の部分に樹脂、たぶん松ヤニが入れてあって、その頭の部分でホールドをたたいてた」と聞きましたが、その後、揺らぎがみられるようです。
例えば、2001年冬のロクスノ記事「ボルト撤去問題をめぐるいくつかの問題」にはこうあります。 

「室井 フォンテヌローではプラスチックの歯ブラシはだめと言われましたよ。豚毛を使えって。感心しました。 
小山田 チョークもだめなんですか 
室井 今はつかってるみたいですね。 
平山 オレが行った89年ころはチョークはだめって言われたな。 
草野 サーキットとかやっている人は使わないよね。伝統に従って。でも最近のハードルートやる人間は使ってるみたいね。まあ岩質の問題は大きいよね。それによって岩場のルールも違ってくる。だからそういうことも新しいクライマーは知識として知っとかなきゃ。(Rock & Snow No.14, 2001 )

 このロクスノ座談会は15年前のものですから、フォンテヌローのチョーク事情、今は更に変化しているかもしれません。
もしかしたら、「ここではチョークは使うな。松ヤニを使え」という世代と「松ヤニはルートを破壊するから使うべきではない。チョークを使うべきだ」という世代の間で、論争が発生したことがあったかも知れません、古美山のティックマーク事件をきっかけに、以下のような様々な意見が湧きあがったように。 

「そもそもチョークは使うべきではない」 
「チョークはいいけど、ティックマークはだめだ、オンサイトトライの迷惑になる」 
「 ちゃんと消すからいいんだよ、チョークもティックも許される」 
「消すから大丈夫って言ってるけど、実際は、ぜんぜん消えてないよ」 
「ティックマークなんかつけたら、手を飛ばすとこがわかっちゃってぜんぜん面白くないじゃないですか」 
「とにかく松ヤニはやめて欲しい。松ヤニとチョークが合体すると除去できなくなる」 
「PD9なら跡が残らない」 
「PD9は止まりすぎる」and so on.... 

なお、古美山のティックマークは先週見てきましたが、普通のチョークではなさそうです。消すのかなりたいへんそうです。
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  1. 2017/02/23(木) 11:24:00|
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